失業時代に知った大型小売店のだましのテクニック

 “「人間復興」の経済を目指して”城山三郎、内橋克人著(朝日文庫)の中で内橋氏は次のように言っている。「まあ、私の口ぐせと言いますと、「職無くば人間の尊厳もない」ということなんです。失業というものは、本当に自分が経験してみないとわからない。世論調査などでも、失業問題はみんな他人事だと思っている。実は、「明日は我が身」であるはずなのに。」

 実際、内橋氏も自己都合ではあるが、失業を経験している。私も約1年半の失業を経験している。良く覚えていないが、失業保険は1年分無かったような気がする。失業保険が切れても、職が無いと言うのは、非常に心細いものである。幸いに家のローンは完済していたので良かったが、これがステップ返済などでローンが残っていたら、大変な事態になっていたと思う。

 失業時代は、家事を専門にやった。まあ、主夫である。掃除、洗濯、食事の準備・後片付け等は特に苦でもない。金が無いので食事の内容はレベルを落とした。働いていた時には、買い物に行っても自分の食べたいものをあまり値段も気にせずに買った。但し、根が貧乏性なので高価なものを買う習慣は元々無かったので値段を気にせずに買ったといっても、たかが知れている。

 失業中のおかず代は、家族5人で1日約1000円程度だったと思う。毎日、近くの○鉄ストアーに通った。昼はばあさんと二人で大体、卵チャーハンを食べた。当然、高くつくのでチャーハンの素などは使わずに塩と胡椒で味付け。晩御飯の定番はもやしとキャベツの野菜炒めだった。買い物は、通常の値段と安売りの値段で2〜3倍の差があることが分かったので、安売り対象商品は安売りの日にしか買わないことにしていた。牛肉等は100g当たり100円以下の時しか買わなかった。比較的値段の安い鳥胸肉等は多用した。本当は健康上からも蛋白源としては魚を主体にしたかったが、魚の値段は結構高い。肉に比べると割高になる。肉も国産を使いたかったが、安い米国産しか買えなかった。中国産の野菜は残留農薬の問題等があると感じていたが、金の無い貧乏人としては長い目の健康よりも現在を生きていくことが重要なので、安い中国産を買った。

 時々、冷凍食品も買ったが、当然、安売りの日にしか買わない。所が、ある日一つのことに気が付いた。冷凍たこ焼きの定価が、通常と安売りの日で大きく違うのである。通常2割引が、安売りの日には4割引になる。値引率だけ見れば、2割引より4割引が2倍安いはずであるが、そうではないのである。5年前の話なのでよく覚えていないが、通常の定価は約400円で安売り時の定価は500円代だったと思う。両者の値引き後の値段は、320円と約300円でほとんど変わらないのである。商品棚の値段表を良く見ると値段表はしっかり表記の異なる2〜3枚が挟んであった。何のことは無い、昔から言われている古典的手法をしっかり実行しているのである。

 アイスクリームのような1個が大体100円と相場が決まっているような商品では、この手は使えないが、衣類や冷凍食品、雑貨類は要注意である。

 もう一つ、しばしばだまされそうになったことがある。毎朝、広告を見て安いものだけを買いに行くので、レジでは一個一個の値段が本当に広告に記載の安売り価格になっているか、確認する。すると広告で安売り価格になっているにもかかわらず、実際はレジで通常価格を表示する例の何と多いことか。その度にレジの姉ちゃんに「ちょっと待った。その値段、広告の値段と違うだろ。」と言うのである。真昼間に男が毎日食料品の買い物にうろついていること自体恥ずかしいのに、たかが100円か200円の差でも容赦なく指摘しないと食っていけない情けなさ。

 本当に貧乏人は広告で安いものを探して買っているのに、それを騙すとは詐欺ではないか。これが、西日本では比較的名の通った○鉄ストアーの実態なのである。

 それからついでに言っておくと、ダ○○ーの刺身は時々、パックの裏を見て買った方が良い。刺身は魚を下ろして、切っただけかと思っていたら、種類によっては結構、調味料をまぶしたりしている物がある。その場合は、ちゃんとシールに表記しているので確認できます。しかし、ご丁寧に刺身にまでそんな加工するかね。信じられない。

(2006年12月16日記)

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